経済学

ヨーグルトメーカーの商品ラインナップ拡大は対小売業交渉力を変えないが利益を増加させる

垂直差別化と水平差別化は小売業者との交渉をどのように変える?

ストロベリーヨーグルトかプレーンヨーグルトか?

本論文では、メーカーが既存の垂直差別化製品数と、各製品ライン内の水平差別化製品数が、小売業者との交渉力にどのように影響するかを実証的に分析する。

メーカーのバーゲニング・パワー[1]2者以上の関係者が交渉・折衝を行う場合におけるそれぞれへの対抗力を指すは、小売業者との契約時に確保される変動利益の割合によって測定される。

分析では、米国のヨーグルト業界に焦点を当てている。この寡占業界では、比較的多くのメーカーが差別化された製品メニューを小売業者に販売しているからである。

小売業者に対して製品ラインナップが増えても交渉力は変わらないが・・・

論文の結果としては意外なことに、メーカーが水平方向に差別化された製品を提供しても、垂直方向に差別化された製品ラインの数が増えても、小売業者との交渉力には統計的に有意な影響を与えないことが分かった。

つまり、メーカーの小売業者との利益分配率は変わらない。

しかし既存の理論と同様、メーカーによる製品メニューの拡大は変動利益を増加させるという証拠を発見した。しかし、既存の理論と同様に、製品メニューの拡大はメーカーの変動利益を増加させるという証拠がある。

このような証拠から、メーカーが製品を増やすことは、利益を最大化することになると考えられる。この戦略は、小売業者との交渉力に影響を与えないにもかかわらず、メーカーにとっては利益最大化であることを示唆している。

本ケースにおけるマーケティング理論とミクロ経済学の知識整理

垂直差別化製品と水平差別化製品とは?

製品差別化とは、他の商品にはない強みがあるということ。あるいは、その競争優位の状態を作り出すために企業が行う行動である。

製品差別化は大きくわけて「垂直差別化」と「水平差別化」の2つがある。

垂直差別化とは優劣がどの消費者でも一致する属性のことであり、例えばCPUや同じメーカー内での低価格製品と高価格製品といったように、明らかに品質や性能、機能の数などが異なるような製品差別化である。

水平差別化は、その属性の優劣がつけられないもの、消費者によってその好き嫌いや価値が異なる差別化である。例えばブランドやデザイン、色、味などである。

製品開発は企業の価値の源泉であると考えられるが、製品開発と言っても常に新製品開発が求められているような競争の激しい分野もあれば、独自のポジションを確立し続けることで大きく新製品を開発せずともその製品に消費者は価値を感じる分野もありうる。

寡占市場でたくさんの製品ラインナップを持つ市場がヨーグルトだった

今回の研究ではヨーグルトメーカーの製品が垂直差別化されたもの、水平差別化されたものを開発すること小売業者との交渉にどのような影響を与えるかを分析している。

結果的に品質や性能、ここでは食品なので効能などが当てはまると思うが、こうした垂直差別化製品を発売しても、味やブランドといった水平差別化製品を発売しても、小売業者との交渉力に対してはどちらも影響を与えないことがわかった。

しかし、これまでの研究でも製品ラインナップの拡大はメーカーの変動利益を増加させることが知られてきた。

本研究に置いても既存の理論とどうように製品ラインナップの拡大がメーカーの変動利益を増加させることが明らかになった。つまり、メーカーにとっては単一商品で勝負するよりも、複数の製品を開発してなるべく多くのラインナップを作ったほうが利益の絶対額は増加する。

よってメーカーにとっては製品ラインナップを増やすことが利益最大化につながる。

食品メーカーと大規模小売業者のパワーバランス

大規模小売業による買いたたきやメーカーいじめは結構あるようです・・・

ちょうど先日、食品産業センターによる大規模小売業による優越的地位の乱用問題についての取引慣行の実態調査報告書が目に止まった。

ちなみに報告書はこちら「令和2年度食品産業における取引慣行の実態調査報告書

ここではこの報告書について詳細には触れないが、我々一般消費者は安いほうが嬉しいのは当たり前のことであるが、食品メーカーに対して大手の小売業の圧力というのは結構凄まじいようだ。

この報告書では長年メーカーが負担してきた協賛金、センターフィー、従業員派遣、不当な値引き・特売商品等の買いたたき、過度の情報開示の要求などについてアンケート調査を実施しており、現在でもこれらの要求は一般的に行われていることがわかる。

ちなみに協賛金とは「チラシ協賛金」(54.3%)、「新製品導入協力協賛金」(44.4%)、「新規(改装)オープン協賛金」 (44.1%)という名目により販売促進を測る等の目的でメーカーから小売業者に支払われる金銭である。

今回の論文と参考にしたサイト

論文

Strawberry or Plain Yogurt? Product Line Expansions and Manufacturer’s Bargaining Power with Retailers, Philip G. Gayle, Elif B. Dilden
http://www.wnjiaoyou.com/economics/phd/candidates/edilden/Dilden_JMP.pdf

製品差別化とマーケティング:垂直的差別化と水平的差別化

参考

参考
1 2者以上の関係者が交渉・折衝を行う場合におけるそれぞれへの対抗力を指す
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