「なぜそれを貴方がやるのですか?」
これは起業家が投資家によく聞かれる質問の一つです。
私は少し前までこの質問の意図としてこんなことを考えていました。
- あなたにこの事業をやる能力があるのか?
- あなたでなければならない理由があるのか?
確かに、投資家はあなたに事業を遂行できる能力があるのか知りたいと思ってます。
それにあなたがこの事業で勝つ見込みがどれくらいなのか測りたいと思ってます。
でも、これらは面接では測りきれないのも事実です。
では投資家は何を知りたくてこの質問をするのでしょうか?
投資家は起業家の描く夢に一緒に乗りたい
「なぜあなたがそれをやるのか?」
まず、人類全体から見れば、あなたがやるべき理由はありません。
世界に同じことを考えている人は1万人、実行に移す人は10人位はいるでしょう。
そしてもつスキルが世界で唯一無二のものであることはほぼないです。
あったとしても特許やノウハウが直接お金になることはまずありません。
だから、論理的には究極的にあなたである理由はないのです。
でも、そんなことを聞きたいわけではないのです。
「アイデアと実行に移す気構えがある、そして根拠も掴んでる」
これを説得してほしいのです。
アイデアだけでベンチャーキャピタルを説得するのは難しいとおもいますが、
アイデアを形にしていく中で捉えた市場のシーズ(根拠)は唯一のものです。
その発見をより大きなビジネスアイデアに拡張するときに、お金が必要です。
より加速をつけるために資金が必要でそのために来ているわけです。
これはつまり、「ここに資金を賭ければより大きな市場が見えるはずだ、そしてその事実を知っているのは私たちだけだ。だから投資してほしい。」ということを、
色んな方向から説得する材料をくださいという質問なわけです。
別に能力不足を心配しているわけでも、貴方にしかできないことがなければ、
出資できないというわけでもありません。
言い換えるとすれば、この質問は「あなたがどれくらい私たちを説得してくれる熱量をもってますか?」という質問に言い換えられるのではないかと思うのです。
今の段階ではどう会社が成長するかまだ検討がつかないよちよち歩きです。
そんな中で、最初のユーザーが増えているくらいでどこまで行けるかは測れません。
じゃあ、どうするかというと決定打となるべきは「想い」しかないわけです。
すでにユーザーも、場合によっては売上も順調に経っている企業の経営者に、
あえて「Why you」を聞くベンチャーキャピタリストもいないことはないでしょう。
Twitterやエアビーのようなユニコーンはトラクションが大きく、
出資を募る段階でどのベンチャーキャピタルも出資したがるような状態でした。
これらはあえてそんなことを聞かれたことはないのではなかったのではないでしょうか。
起業は創業者のエゴから始まり、社会のために終わる
Why youは「なぜ起業するのか?」という問いと同義です。
「なぜ我が社を志望するのか」、「なぜ結婚しないのか」と聞かれると、どの人も少なからず身構えてしまいますが、なんとかして答えた経験があると思います。
そして、理由は複合的で一言で言えるものではないと思います。
それでも自分の思いを伝えなければ相手が勝手に理解してくれることはありません。
最初から大それた理想を掲げても、泥臭いことはたくさんあって、
そしてだいたいうまくいかないのがスタートアップです。
その中で、まだ市場として参入余地があったり、新しい市場が出来ると思ったところに、
スタートアップは果敢に入りこんで行きます。
そしてそのスタートアップも大きくなるに連れて社会の公器になっていきます。
それは創業者が望んだことというよりも、周囲の人がそれがなくなると困ったり、
そのせいで何らかの社会的な問題を引き起こしたりするなど影響力が大きくなるからです。
それがわかっていて会社を始めるのはある意味創業者のエゴなのです。
しかし、その思い込みからイノベーションが生まれることもまた事実だと思うのです。
ぼくらのようなベンチャー起業家が社会のためになる事業をしたいと強く思うのは、それが今の世の中に残されたわかりやすい自己実現の方法に見えるからかもしれません。人から認められたい、褒められたい――そんな認知欲求は、経営者になってまともに事業を進めていればすぐに満たされてしまいます。それを満たしたあとは、あとに残るのは世の中に何かを残したい、生きた証を残したい、という気持ちなんですよね。
ヘルスケアの世界には、まだまだイノベーションの種が眠っています。この領域はもっとも変えないといけない領域にも関わらず、です。ぼくらのオフィスがある東京都のこの創業支援室にはバイオやヘルスケアの会社ばかりが入っていますが、平均年齢は40代後半。ぼくが過去を遡っても最年少で、現在も若い会社はありません。このタイミングを逃さずに、ヘルスケアの領域で人の役に立つサービスをつくって、一番の企業になりたい。そうした使命感を持って働いています。
そのためには矛盾を矛盾のまま飲みこんでいくような気合いが必要なんです。でも、それが面白い。魅力的なサービスをつくるには仲間が必要で、仲間を得るためには魅力的なサービスが必要――。お金がなければサービスはつくれないけれど、お金を得るにはサービスが必要――。目の前にあるパラドクスを力づくで越えていく道程で得られる成長実感。これは一度体験するとなかなかやめられないもんですね。
なぜ起業家はみな「社会のため」と言うのか
https://president.jp/articles/-/12694
成長市場×サービス×Why you
私はスタートアップ界隈のことは何も知らず、たまたま友人が起業するということで、
少しだけ手伝っていたら、いつの間にか自分も興味を持ちました。
最初はリーンスタートアップも、アクセラレーターも知らなかったのです。
起業するということのイメージが全く沸かないままに手伝ってました。
でも、システマチックに起業するやり方なら自分も成功できる気がしましたし、
流行の分野と少しのイケてるアイデアであれば、デモがなくても数百万円も投資をしてくれる人がいるということにとても驚きました。
起業するとなると、リーンスタートアップが王道であるように言われています。
でも実際に体験して、この方法は中途半端なのではないかと思うようになりました。
一番の理由は、チームのプロダクトへの愛着が低くなってしまうことです。
成長市場でかつ、トラクションがつかめるサービスが作れれば、成功確率は上がりますが、
それはおそらくCEOと創業メンバーの得にはなる一方で、
長期的には求心力が低下し大成功する可能性は著しく下がるはずです。
二番目の理由は、破壊的なアイデアが短期的な理由で除外されることです。
リーンはPDCAを回すことで検証を積み重ねていく方法です。
つまり、その背景にはロジックがあり、検証のためには証拠が必要です。
すると、大成功するような突拍子もないアイデアは投げ捨てられてしまいます。
とは言っても、起業家の成功者やその他たくさんの投資家が勧める方法です。
この記事をよんでいる貴方も実際に体験してみることをおすすめします。
私がそう思ったというだけで、自分のやり方を見つけられればそれが正解ですから。
起業がスタートアップである必要はまったくない
これまで、サラリーマンをしながら半身でスタートアップに関わってきた人間でしたが、
とあるきっかけで情報弱者となる高齢者や障害者、外国人でも安心して生活できるようなデバイスプロダクトが必要ではないかと考えたとき、すぐにやることを決意しました。
でも、このイシューは必ずしもスタートアップのやり方と相性が良いとは思いません。
何がなんでもVCから調達して5年ほどで上場することを目指す必要はないと思います。
今の私は自分にもWhy youがあるんだ。そして使命があるんだという思いです。
そして成長市場×サービス×Why youに刺さるビジネスモデルを作れるまで奮闘します。
どう会社を成長させるかはそれから考えても良いのではないか思うのです。
伝えたいことは、自分はむしろ「WHY YOU(あなたが、なぜやらないといけない)」がない起業家の支援はしません。
理由は「成長市場(儲かる)」×「サービス(手段)」でやっている人は、他に「成長市場(儲かる)」×「サービス(手段)」があれば、そちらにいってしまうからです。
自分は、生涯を通して、MISSION(使命)=解決したい社会問題=自分と同じ原体験をする人を無くしたいと思いを持っている人に、自分も自分の命を使って支援をMISSION(使命)にしています。
なぜ起業家に「WHY YOU(あなたが、なぜやらないといけない)」が必要かについて
https://note.mu/chikaike/n/n48dcd0c26a5a
「なぜ貴方がやるのか?」
この質問にまともに答える必要はありません。自分の好奇心にまさるものはないはずです。
そのくらいは良識あるVCの人ならわかっています。自信を持ってこう言いましょう。
「このビジネスにかける私の熱量は沸騰点を超えてます」
その根拠を熱心に言う以外に出来ることがあるなら、私も知りたいと思います。
もちろん投資が決まる前に「どうやって良い人生を送るか」という問いを立てて、
スタートアップという良い響きに流されてないかを確認してください。
一緒に、世界をすこしだけ良くするイノベーションができれば嬉しいです。
仲間を募集しています。