ビジネスモデル

みずほ銀行の貯蓄の達人はソフトバンク等の債権流動化商品だった

ソフトバンクとみずほ銀行の金融商品「貯蓄の達人」

孫さんという経営者のすごみ

孫さんはずっと尊敬してきた経営者です。

自分は中学生からJ-PHONEユーザーだったのですがソフトバンクになるまで、
ちょっと肩身が狭かった気がしていたのが、iPhoneやスマホ導入で、
自分も一躍時代の先端にたったような気がしました。(勘違いですが)

そんなこともありましたが、企業経営という視点から見ても、
専門家の方々が解説する通り常識はずれと言われることが多いことをしています。
今回「ほぉー」と感じたのがこの「携帯割賦債権」の流動化についてです。

みんなが分割で購入している「実質0円」のスマホ代というのは、
携帯電話会社にとっては「債権」で、お金を全部返してもらうまでに2年位かかります。

そこでこの「債権」を金融商品として「流動化」(誰かに売ること)することで、
すぐに「現金及び預金」に変えることで企業経営を加速させる手法です。

「孫正義300年王国への野望」で触れられている債権流動化施策

藤原の割賦には2年の縛りがついている。ということは2年分の収入があらかじめ確定しているようなものだ。もちろん中途解約はあるが違約金がかかるため計算できる数だ。2年分の見込み収入を流動化させればリスクの少ないまとまったカネになる。

つまるところ、携帯電話会社はこの、我々ユーザーに対する「割賦債権」を、
流動化することで資金を調達する一つの手法としていることです。

ものすごく単純化するため本体代に月額使用料も含まれているとします。

例えば、2年間で24万円支払う場合、利用者は分割で毎月2万円しか払ってくれません。
すると、本体代の仕入れ代金20万円を払うには10ヶ月またなくてはなりませんが、
普通はメーカーに先に支払わないと行けないので先にお金が出ていってしまいます。
そんなとき「利用者が毎月2万円、総額24万円払う債権」を金融機関に売却するのです。

すると、例えば22万円がすぐに現金化されるので、
20万円をメーカーに支払い、2万円をすぐ手元のお金として、
次のユーザー獲得や施設拡張といった事業活動に使えるわけです。

こうしたスキームが「債権流動化」であり、実はこの皆さんの割賦債権が、
みずほ銀行の「貯蓄の達人」という金融商品にも組み込まれているというわけです。

みずほ銀行の「貯蓄の達人」について調べてみた

こういったスキームで会社経営はより加速させることができますし、
資産を運用したい人にとっては安定的な金融商品になるわけです。

携帯は多くの方がしっかり支払いをしてくれますし、中途解約の場合は手数料があります。
そのため「信用」がまあまあ高く、一定数解約しても手数料を織り込むことができる
「予測」しやすい金融商品になります。
金融機関において、確実性・予測可能性というのは大事です。

これだけでよくできていると感心していたのですが、
この流動化された後の携帯割賦債権の商品を追ってみました。

「貯蓄の達人」配当率情報を見てちょっとびっくり

みずほ信託銀行の金融商品ということで、
みずほ信託銀行さんのWebページに商品の予定配当率が公開されています。

貯蓄の達人
10万円以上1,000万円未満 1,000万円以上
1年 0.07% 0.10%
2年 0.10% 0.13%
5年 0.13% 0.16%

はい、金融商品としては恐ろしく低い配当ですね。
銀行の定期預金は皆さんご存知の通り年利で「0.01%~0.03%」です。

100万円預けても1年後に100円しかつかないのですから自分が働いたほうがいい。
こちらの貯蓄の達人にあずけても100万円で700円。無いよりはマシと言う程度です。

これは裏返すと安全性が高いので、ソフトバンクとしては低利でお金に変えられる。
銀行側は低利でお金を貸すことができるというわけです。

個人的にはあまり有益なお金の投資先とは到底思えません。
必ず返ってくる投資のリターン(利息)は必ず低いという鉄則から言えば、
それくらいに信用度は高い商品なのですが、魅力がゼロのように思います。

こういった商品、考えるだけでいろいろな人の手を借りないといけないので、
銀行や信託銀行や証券会社のエリートの頭脳が必要、当然手数料が取られます。
すると「ローリスクローリターン」な商品はもはや利益が生まれる余地が無いのです。

インターネット銀行の定期預金のほうがむしろ良いのでは

実際に他の運用方法と比較してみましょう。

現在はお金もオンライン化が進み、銀行窓口に行かずともコンビニのATMで、
お金が引き落ろせたりすることは皆さんご存知の通りだと思います。

イオン銀行や住信SBIネット銀行、楽天銀行、じぶん銀行、ジャパンネット銀行、
オリックス銀行などなどここで上げるのも大変なくらいありますね。

イオン銀行の普通預金の金利は「0.120%」オリックス銀行の金利は「0.2%」です。

銀行に預けたほうがいいじゃないですか…

先程「貯蓄の達人」の予定配当率の低さを見て驚いたのはこういうことです。

信託報酬、監査費用、解約手数料まで考えるとマイナスにしかならない

みずほ銀行の「費用について」という情報を見るとさらに残念なことがわかります。

信託財産の中から信託報酬をいただきます。信託報酬は、信託元本に対して上限年率3%から下限年率0.01%の範囲内とし、運用成果に基づき計算します。
その他、信託財産の中から監査費用などの信託事務の処理に必要な費用を支払う場合があります。当該費用は発生時まで確定しないため表示できません。
原則として中途解約はできませんが、やむを得ず中途解約される場合は解約手数料がかかります。計算方法につきましては中途解約時のお取り扱いをご確認ください。

ちょっとむずかしい内容なので読み飛ばしてしまいがちですが、

金融商品を購入する際「費用について」の記載は絶対に読んでください!

一番やっかいなのは「無料」で購入することはできるが、
毎年「信託報酬」や「手数料」が取られるというところ。
そしてもし解約する場合は携帯と同じく「中途解約手数料」がかかるというところです。

こちらには具体的に「いくら取られるのか」の記載がありませんが、
例えば100万円で1年の「貯蓄の達人」を購入した場合、
元本に対して上限の「年率3%」取られた場合3万円とられます。
さすがに上限で取られなくても、最低でも100円は取られます。

700円しか配当がつかないにも、かかわらず信託報酬は以上に幅が広い。
最低でも100円も取られるのです。

実際はさらに配当に対しては20.315%の税金がかかりますので、
手元に残るお金として最大で期待できても457円しか利益が残りません。

この時点でもはや何も得しないような気がしますが、百歩譲って、
お金持ちで長い時間預けることもできる余裕のありすぎる人だったとしましょう。

1000万円で5年の商品を購入したとすれば「0.16%」の配当率です。
そこで信託報酬が下限の0.01%であれば、差の0.15%配当が付く可能性もありますが、
それでも年間あたり「1万5千円」にしかなりません。

信託報酬最大の3%を取られたらそれだけで30万円かかりますが、
予定配当率は固定されていますので、配当は1万5千円を超えることがありません。

なんと言ったら良いのかわからないほど投資家に不利な条件です。

中途解約時の扱いまで考えるとどう考えてもおすすめできない

これ中途解約した場合はどうなるのでしょう。

解約手数料=信託契約日における信託金の元本の額÷1,000×千円あたり解約手数料
千円あたり解約手数料=1,000×{(残存期間別基準利率-予定配当率)+0.2%}÷12×残存月数

全額取られるということは流石になさそうですが、数千円でも取られたら、
配当分がかなり削られますよね。

孫さんおよびソフトバンクの経営は素晴らしいがこの商品はNG

資本主義社会において、金融は経済の血液と称されますが、
この血液の源は皆さんの根源的な欲求に根ざしているわけですよね。

企業はここから人がほしいと思うものやサービスを創り出し、
対価としてお金を受け取り、そして金融機関はそれを商品として売り出す。

このサイクルで金融商品は「きっと儲かるはずだ」という投資家の期待に答えるため、
いろいろな見せ方であたかも儲かるかのように宣伝されますが、
実際は商品販売の営業さんにも、商品のリスク管理担当者さんにも、
そして彼らに給与を支払う処理を行う経理さんにもコストが掛かるので、
金融商品からの利回りを手数料が上回るということも少なくない。

こういった商品にも一定期間内の解約には手数料が取られるので、
不確実性が高く、リスク許容度の低い普通の人は一般的に損をします。

今回たまたまソフトバンクの経営について学んでいたら、
こういった商品までたどり着いたので深掘りしてみましたが、
普通に住宅ローンや自動車のローン、残高設定クレジットなど多くの金融商品は同じです。

将来設計という点では貯蓄とリスク許容度を踏まえた投資計画を遂行する以外に、
お金を増やすことはできないという事実を改めて感じざるを得ないのでした。