スタートアップ

技術系ベンチャーにありがちなプロダクトリスクを前に検討すべき事項

技術系ベンチャーが抱える初期のプロダクトのリスクとは?

Webサービスやその他のサービス系ベンチャー企業も含めて、スタートアップを目指す企業すべて最も陥りがちな失敗が、製品やサービスはリリースしたがユーザーが全くいない、もしくは市場が小さすぎて成り立たないという失敗です。

こうした製品と市場のマッチングがうまくできないリスクを「マーケットフィットのリスク」と呼ぶことにします。リーン・スタートアップでは「PMF(プロダクト・マーケットフィット)」という段階において、その製品が市場で本当に求められているのかを検証します。

スタートアップにおいてはこのマーケットフィットが最も難しく、そして得てして新しいビジネスに自信を持っている起業家側の独りよがりになりがちです。

技術系ベンチャーと言ってもロボットからバイオまで様々なベンチャー企業がありますが、これまでこの世の中に存在しなかった技術的ブレイクスルーを実現するようなスタートアップの場合、特にマーケットフィットのリスクとは違ったリスクを抱えることになります。

例えば、バイオ系ベンチャーが抱える一番の問題は、「この薬が本当に売れるのか?」というマーケットフィットのリスクではなく、「その製薬が本当に実現可能か」という問題であると言えます。これを「プロダクトのリスク」と呼ぶことにします。

その技術がどれくらいのインパクトを与えるのか?

技術一つを大事に育てたいのであればそれも良いのですが、技術だけではビジネスにはなりませんので、その技術を知的財産権などで保護しながら、独占的に収益を生み出せるようなプロダクトを開発していく必要があります。

そのためマーケットに受け入れられるようなプロダクトの形を取る必要があり、技術にどれだけ強みがあると思っていてもそれはあくまで、理想的なプロダクトを作るための材料であると言えます。

その技術がどれくらいの製品やサービスに組み込まれて、どれくらいのインパクトを与えるのかを考えるのは起業家の大きな役割です。技術者でありながらこうした想像を広げていくことの出来る人は起業家としても強いと言えます。

スタートアップにおいて、技術を中心に据える場合は前出の「マーケットフィットのリスク」が潜在的に高い場合があります。技術系ベンチャーは概してその高い技術力に強みを持つと考えているのですが、市場から見てお金を払いたくなるほどには魅力的ではないことがあります。

また、そもそもその研究開発が成功するのか見えていないという段階では「プロダクトのリスク」も大きいと言えます。Webサービスやゲームアプリなどと違って、そもそも価値の源となるべき技術が発展途上で製品やサービスまで落とし込めない可能性があるのです。

バイオや製薬系のベンチャー企業の場合は、そのプロダクトのリスクも大きいですが、成功した場合は市場を独占できること、薬価が法律で定められるため収益予想が可能であること、そして知的財産権で保護されるため一定期間は競合がないという特殊な業界構造が故にそのリターンも大きいと考えられるため専門のVCも存在します。

その技術はどの市場を指数関数的に取り込むのか?

起業と一口に言っても、個人事業主、スモールビジネス、スタートアップなどいろいろなビジネスの方向性が考えられますが、スタートアップ型の起業を検討するとなると、概して外部資金調達がセットとして考えることが一般的です。

これは短期間で急成長を目指すスタートアップ型の企業がモメンタムを失わないためには資金が必要であり、ベンチャーキャピタル(VC)などはある程度まとまった資金を投資しているからです。逆に言えば、短期間で急成長を目指さない企業はVCから調達しません。

また、その技術は世界初で、画期的であったとしても利用シーンが非常に限定されてしまう場合は、市場が小さいと判断されるためにVCから調達することは現実的ではありません。

つまり、技術系ベンチャーでかつ手元の資金が不足しており、スタートアップとして指数関数的な成長を見込めるのであれば、VCからの調達は一つの方法であると言えます。

VCは投資家です。従ってお金を預かって運用し、その運用益を分配する必要があります。その点においては株や債券の運用益で収益を上げる投資銀行や企業の経営改善と売却で収益を上げるPEファンドと同じく投資会社であり、あくまで投資先がベンチャー企業であるというだけの話であります。

つまり、いずれは資金を回収しなければならないので利益を出すために会社経営にも影響を与えることがありますし、コミュニケーションを取らなければ後々会社の方向にも大きな影響を与える存在となりうるのです。

当然、既存の事業等である程度キャッシュフローがあり、今後拡大のための手元資金に余裕がある場合は当然に調達すべきではありません。

このように技術系ベンチャーが資金調達を行う際には、まずその技術に将来的な市場独占の可能性が望めるかどうか、そして企業の資本的な体力がどの程度あるのかによってその取るべき方向性をおおよそ決めることが可能です。