ビジネスモデル

BvDのOrbisはいくらで契約できるのか?

企業情報データベースでおそらく世界一の情報を持つOrbisというデータベースがある。

私は仕事の都合でこのデータベースを毎日のようにディグしていたのだが、当時から「このデータベースは高額なんだ」という噂を聞いていた。

その仕事から離れて何年もの月日が経つが、時々調べ物をするときにデータベースにアクセスしたくなる時がある。

先程「Orbisがあったらな」ということがあったので、ネタ的に個人で契約できるのか?契約するとしたらいくらなのかを調べてみた。

Orbis/Osirisとはなにか?

Orbisというのは非上場企業の様々なデータも持っている企業情報データベースで、Osirisというのは上場企業の企業情報データベースである。

上場企業のデータは公開されているのだから比較的容易に入手することができる。ただ外国の企業情報データはなかなか簡単にたどり着けないことも多いので、英語に統一されているデータベースはやはり便利である。

(例えばベトナムの上場企業とか、インドの上場企業情報を探してこいと言われてもGoogle検索だけで正しいデータにたどり着くことはかなり難しいだろう)

非上場企業の財務データはどう収集しているのか?

Orbisの非上場企業データはどこから持ってきているのかと言うと、実は単純で帝国データバンク等の日本の調査会社のデータベースから来ている。

だから、すべての企業を網羅しているわけではないし信頼できるデータとも限らない

実際に仕事で使っていた当時、これはOsirisだったと思うが上場企業の財務データですらも間違えていることがあったので、結局、原典にあたって確認せよというのが業務フローの中にあった。

世界中のデータをどのように収集しているのか?

これも単純で、各国の企業情報収集会社からデータを購入しているのである。

日本では前述の帝国データバンクや東京商工リサーチという会社が、非上場企業に手紙を送ったりして様々な情報を集めている。

アメリカではDunn and Bradstreet (D&B)が企業情報の専門調査会社として有名である。

中国では、リスクモンスター社と連携している上海傑勝商務諮詢有限公司(JSBIZ)や上海華予信企業信用征信有限公司(CTC)といった会社がある。

支払いの問題さえ解決できれば、また、現地の言葉が分かるのであれば、直接これらの会社に調査依頼をかけても良いだろう。

これらの調査会社に依頼すればすべてが分かるのかというとそうでもない。財務データや取引先データはやはり任意で提出しているか、もしくは口頭の聞き取りベースである。

だからこそ、前述の通りあくまで調査会社の持っているデータだから正しいわけではない。

なぜ非上場企業のデータが信用できないか?

口頭ベースや任意での提出データを元にしているのだから当然である。
一応コストを掛けて調査しているし、データに意味がないわけではないと思う。

私は会社の情報をなるべく正しく伝えたいと思っている人間だし、ほとんどの経営者はそうだろう。経営者として正しい数字を見るために正確な財務データを元に議論したいし、税務会計においても正確にルール通りに申告したほうがよいと知っているからだ。

しかし、非上場企業というのは税務調査時以外に信頼できる第三者から監査を受けているわけではない。税務申告書もあくまで自主申告である。いくら申告はしていてもそのスタンプは一応税務署が受け取ったというだけの意味合いしか無い。

さらに言えば、調査会社に提出するデータに税務申告書すべてを出す会社は稀である。

なぜなら税務申告書にはほぼすべての財務データが載っている。調査会社とはいえ、民間企業に対してデータを出して、そのデータをこちらの意思とは全く別に開示されてしまえば、競争相手にも見られるわけでメリットが薄いと考える経営者もいるだろう。

私は、金融機関がこうした調査会社の情報を見て融資等の資料にしていることを知っているので、なるべく良い状態でも多少悪い状態でもなるべく信用できるデータを開示するのが良いと考えている。

将来的に借入をするとき、金融機関に財務データは提出するわけで同じ数字を調査会社に出しておくというのは整合性の観点からもそうであったほうが良いに越したことはない。

Orbisの値段

さて、本題である。

公式サイトにも載っていないので営業担当に真面目に契約したいという連絡をしないと公開されない。

しかし、こうしたデータベースは公的機関が契約していることがあるので、入札情報を見れば分かるだろうと考えた。

結果的にGoogle検索だけでOrbisがいくらするのか分かった。

年間3300万円である。

私はもともと高いと知っていたので「ほ〜こんなものか」という感じだが、この値段、たしかに必要でない限りなかなか使うことはできない代物だろう。

やっぱり、個人では払えない。

しかし、実際に全世界の会社を網羅している企業情報データベースはこれしかないので、仕方なく支払っている機関も少なくないだろう。

私が学生の頃は大学でもこのデータベースを契約していたが、今少し調べてみたところ契約していないようだ(残念!)

余談だが調査会社のやり方があまり好きではない

さて、Orbisの情報提供元になっている帝国データバンクや東京商工リサーチさんであるが、私もこれまで何度か会ったがあまり良い印象はない。

来る前に事前調査するのは良いが、初対面の担当者と面談した時にさりげなく、SNS等を調べているのだろうが、表に出してない情報を混ぜて聞いてくる。

つまり、どこから入手した情報かはしらないが、会社のWebページなどには一切掲載していない私の出身大学名を会話の中でさらっと出して、会話の中で確認するようなやり方をする。

「失礼ながら、代表者様の経歴を調べさせてもらいまして…」と前置きするならまだしも、会話の中で何気なく混ぜて確認するというのはまあ気分が良いものではない…

他にも、癪に障ったことがある。

取引先の銀行の支店名を言ったとき「そういう支店があるのですね?」とわざわざ確認する。そこを疑うくらいなら支店名などは公開されているのだから調べれば良いだろう。

なるべく情報を開示したいと考えている人間でも少し疑問に思うような調査をされたら、かなり多くの人が不愉快だと感じると思う。

実際に手元の資金だけで経営しているブートストラップ型の会社で、まったくこうした調査会社に情報を開示していないところも知っているし、こちらが信用調査等でデータを開示したときにも公開していない会社さんが意外とある。

今後はビジネスモデルによって、またお付き合いのある金融機関しっかり情報共有と信用を蓄積することにより、調査会社に情報を共有する意味についても考えていきたい。

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