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【客員起業家】Entrepreneurs-In-Residence(アントレプレナー・イン・レジデンス)とは何か?

Entrepreneur-In-Residence(アントレプレナー・イン・レジデンス、EIR)という制度は一般的には経営大学院やベンチャーキャピタルなどが起業家を雇用する制度のことです。日本語訳をすると「客員起業家」となります。

客員起業家の仕組みはどのように生まれたか?

シリコンバレーにおいて優秀な起業家に新たなビジネスを創出させるために、基本給を保証する好条件で多くのベンチャーキャピタルが提供した仕組みがEIRです。

仕組み自体はインターネット・バブルの時代からあり、その当時は経験がある人材をベンチャー側に引き込むために、一定の生活保障をしながら起業を行ってもらおうというベンチャーキャピタルの考えがあったといいます。

EIRとは基本給を保証して、次なる投資対象になるベンチャーを作ってほしい、というものです。同時に、EIRにはExecutive in Residenceという意味もあって、優秀な経営者に入社してもらって、VCに持ち込まれる起業プランを評価してほしい、もしくは面白い案件があったら、そこの経営にあたってくれないか、その間は給料を保証するよ、というものです。

EIRというのは人材を確保することで、スピーディに、成功確率をあげていく手法です。起業のアイデアはそれほど新しいものばかりじゃないですよ、Nothing new under the sun.、太陽の下では何も新しいものはない、というじゃないですか。だから、発想よりも人材に投資する、という考え方なんです。学生ベンチャーならいざ知らず、ある程度の年齢の起業家にとっては起業リスクは無視できないでしょう? 起業リスクを軽減できるという意味で起業家側にもメリットはある。

https://cloud.watch.impress.co.jp/epw/cda/ogawa/2007/03/01/9723.html

今でも実施しているファンドもありますが、当時に比べると一段落してはいるようです。その半面、EIRはビジネススクールや法律事務所などの別の場所で活躍するようになりました。

ビジネススクールに所属する起業家の役割

例えばハーバード・ビジネス・スクールには「Entrepreneurs-In-Residence」というシステムがあります。これはビジネススクール内にIPOやバイアウトを経験した起業家にいてもらうことでいつでも企業の相談やアドバイスを受けられるようにする仕組みです。

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メンター陣は、消費財、ヘルスケア、バイオ、メディア、エンタメなど多岐にわたっており、年に6−7回学生と1対1でメンタリングを行います。気になった起業家にメンタリングしてもらうためにオンラインで簡単に予約ができるのも良いですよね。

起業家の他にもベンチャキャピタルとの面談もできます。先日もドレイパー大学に講演に着ていたBessemer Venture Partnersのパートナーもメンター陣にいますね。

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ベンチャーキャピタルに所属する起業家の役割

ベンチャーキャピタルにEIRが所属する場合というのは、一般的にベンチャー投資におけるポートフォリオ企業を支援するためであったり、新規投資の評価をするためと言えます。

また、ベンチャーキャピタル側もEIRへの投資における最初のアクセス権を有することから、会社の意思決定等に影響を与えることを狙っていることが挙げられます。

日本における客員起業家プログラム

日本ではインキュベートファンドやドレイパーネクサスといったベンチャーキャピタルがこのEIR制度を導入しています。また大手PCメーカーのDellや三菱UFJ銀行(MUFGグループ)にもEIRの制度があります。

起業に至るまでの方法の一つにEIRを検討してみては?

起業をすると言っても、その成長の仕方や規模、やりたいことによって様々なやり方があります。アクセラレータープログラムに参加する方法、EIRとして起業準備をする方法、プロダクトを持ってVCに足を運ぶ方法など複数の方法があります。

まだアイデア段階の起業家で、かつスタートアップ起業を目指すのであれば、現在私が参加しているドレイパー大学のプログラムは良い経験になるかもしれません。

反面、独立して小さくても自分の収入はサラリーマンより稼ぎたいという起業であれば、自己資金で始められてかつ安定的な収入が得られるビジネスプランを目指したほうが良いと思います。

起業と言っても様々なビジネスがあり、どこに自分が向かいたいのかによってその一歩目は大きく変わってきます。EIRは最初のリスクが非常に小さく、時間を掛けながらも大きな成長を目指す起業家のためのプログラムです。ぜひ、われこそはという人は応募してみましょう。