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住宅ローンは変動か固定か論争を冷ややかに見る

以前、こんな記事を書いた。

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結論として金利は「今後10年程度しばらくはこのままの水準を維持し続けるのではないか」ということで、10年以内に返すつもりなら変動、35年フルローン前提なら固定でも良いのではということだった。

だがこれは、絶対ではない。別に10年間変動金利が上昇しないことなんて保障しないし、35年変動金利でも全然問題ないかもしれないと言っても良い。

「そんな適当な答えになるのか!」とお怒りになる気持ちは分かるのだが、それには理由があることは前の記事を読めば説明できていると思う。

金利という数字がなぜその値になるのかを知らなければならないし、なぜ将来の金利予想が難しいのかというのは、ごく当たり前のことだということに気づいて頂けるはずだ。

なぜ改めてこんな話題をするのかというと、私もワンルームのアパートからの卒業を考えており、YouTubeなどで住宅ローンについての動画を見ると、変動・金利どちらが良いかというトピックが非常に盛り上がっている。

実際見てみるとそれぞれにそれっぽいことを言っているのだけれども「いや、結局その人次第じゃね?」と改めて思ったからである。

なお、私は経済学者でもFPでもない。(FPは過去問だけ見た)

大前提:すっぱい葡萄のキツネにならない

そもそも、現実問題として住宅ローンというものは誰もが選びたい放題なわけではない。属性によって選べるローンの選択肢は変わってくる。

「変動金利バンザイ!」という人は変動金利が組める属性であるからそれを選べるのだ。

金融機関によって審査は違うのでやって見るほかないけれど、変動金利が難しいのであればフラット35になる。それすらも通らなければそもそも住宅ローンは組めない。

もしフラット35しか組めなかったとしても決して「金利が…」と悔やんではならない。それは選べなかった選択肢、すなわち「すっぱい葡萄」であって現実ではない。

変動金利では審査が難しかったとしてもそれはくよくよしてはならない。そんなことより家族がマイホームで楽しく暮らしたほうがよっぽど素晴らしい価値なのだから。

金利が低いほうが当然返済総額は安い

もしあなたが両方選べるなら、やっぱり住宅ローンは金利の低い変動金利のほうが良いという結論に至るかもしれないし、私もそれには大方同意する。

けれどすべての人にそれが良いと太鼓判を押すことはできない。変動金利のほうがおすすめなのは合理的経済人ならそうするだろうと思う。単純な話、計算すれば自明である。だって金利が低いのだから。

住宅ローンは0.何%という差であっても、借入総額が何千万円であればその金利支払いは大きく変わってくる。例えば1%。100円に対してなら1円にしかならない。しかし、

1年後1億円の0.5%は50万円、1.57%なら157万円になる。

それぞれ比較すれば当然、変動金利のほうが当初の元本に対する金利は軽く、当然返済総額は少なくなる。

逆に固定金利は当初の元本にかかる金利が大きく、返済総額も大きくなる。

結果として支払総額は場合によっては1千万円近く変わってくることもあるのだから、やっぱり変動金利で良いのではないだろうかと思うのは分かる。

ただ、金利が35年間同じ金利であり続けるということのほうが珍しい。そして0%以下になることは無い。

だからもし、変動金利で本当に35年掛けて返済するつもりなら目先の低金利にくらんではならない。長期の金利動向なんて誰にもわからないのだから、それを選んだら相当のギャンブラーである。

変動金利は変動リスクを背負う

結局、変動金利は金利の変動リスクを借り手が背負うことで成立する金融商品だということは忘れちゃいけない。金利の急上昇局面が訪れたら変動金利はリスクとなる。

じゃあそれがいつ来るのかという話は後回しにして、

住宅ローン商品の中には125%ルールというものが規定されているものがある。これは金利が上昇しても5年間は同じ金利、6年目以降でも125%までしか金利が上がらないというものである。

つまり、0.5%で借入を始めたとして、金利が0.25%上昇したら6年目からは0.625%の金利で支払いを行うということになる。

しかし、このルールにも欠点があり、これはあくまで急に支払額が増えて生活できなくなることを防ぐためであって、もし、金利が5%に上昇したら、たしかに6年目からの毎月の支払いは0.625%で良いのだけれど、差分の4.375%分の金利も計算されており、最終的に返済するときにはこの差分にかかる金利も支払う必要がある。

変動金利を選んだことで変動リスクを背負っていることには変わりない。

どうしたら変動金利のメリットである低金利を生かせるのか?

そう、だったら、早めにこの変動リスクとおさらばすればいいのだ。それが「早期返済」「繰り上げ返済」である。これをすれば、変動リスクに怯える必要はない。

変動だ固定だという話以前に、結局の所早く返すに越したことはない。早く返せば金利上昇リスクは少なくとも最小化することができるのだ。

前回も説明したとおり金利の決まり方というのは、おおよそ10年国債を基準と見てよいのだけれど、いくらの利息であれば買い手がつくのかというところに帰着する。

資金を貸している金融機関はインフレならインフレ率に合わせて資金運用しなければならない宿命なので、高い利回りを求められるようになったらいつまでも低金利で住宅ローンを融資するわけにはいかない。

さて、じゃあこの金利の急上昇局面というのは一体いつ来るのか?

それは私も知りたいところだけれども、そこが冒頭のとおり、個人的には10年くらいは大丈夫ではないかと見ているというあくまで私感なのである。

未来は予想できないが、2035年には日本の人口は1億人を切る。総人口の33.4%が高齢者となる。当然に地方と都市の地域間格差が広がり、不動産価格も維持できなくなるだろう。介護や医療費、インフラ修繕費は増え続ける。

このような状況で資産として計上されている国のインフラにどれほどの価値を見いだせるだろうかと考えたとき個人的には10年くらいなのではないかと思っているのだ。

YouTubeなどでMMT理論の説明などを見るとよく見るのだが、財政を分析する際、簿記の考え方が出てきて、日本は破綻しないというロジックがあって、そのロジックならどれだけ紙幣をすってもインフレにはならないという。

これは会計的には正しいと思う。しかし、破綻はしなくとも資本市場で人気を維持できるかは保障しない。なぜなら金融の値付けというのは大人数が心理で動いて市場で決まる性質のある水物だからである。

それに、資産は活用して稼がなければ意味がないし、不良在庫のような価値がないものが資産計上されてることはよくある。つまり、会計上の資産が本当に価値ある資産かどうかは危うい。

それは日本のバランスシートにおいても言えると思っている。

すると、2057年まで今の金利を維持するということのほうが難しいのではないかと考えている。しかし、それでも10年くらいであれば大きく上振れもしないのではないだろうと言うのが個人的な見立てである。

自分の計画に合わせて選択することが大切

結局のところまず住宅ローンを変動にするか固定にするかはまず自分がもっているカードしか切ることができない。だから、固定と金利で迷えるなら、次考えるべきは自分が倹約家できっちり早期繰り上げ返済できるかどうかである。

そして、全員が鵜呑みにしてしまうと良くないと思うのは、メディアで変動金利を強く推している人というのは、基本的にはストイックな人間だということだ。

彼らが変動金利を往々にしておすすめしているのは、大前提として繰り上げ返済を10年とか15年くらいで達成してしまうプランニングバッチリの人たちだからである。そのくらい自分ができる収入があり計画的な人たちである。

そうであるなら、変動金利一択であることは疑いようがない。

なぜならこれは前述の通り、①元本に対する利息が低いので返済金額が小さくなる、②比較的短期で完済予定なので金利変動リスクを最小化できるからである。

一方で、あまり毎月お金に余裕が無いけれどマイホームは購入したい人というのもいる。毎月定額で返済しフルで35年かけてのんびり返済できればいいと考えている人もいる。それならフラット35はそれなりにいいチョイスだと思う。

一番良くないのは、個人的に変動金利を選んでおきながら、35年間繰り上げ返済を全く考えてない人である。

結局、変動金利は余裕のある人ができるだけ早めに返済していくということで、初めてメリットが最大化される。単に今現在の金利が安いから変動にして、それが続くことを楽観的に考えながら35年かけて返済するものではない。

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