会社のテレワーク導入とその人事的背景
前職ではテレワークである在宅勤務制度が導入されていました。
以前は9時から17時半までの固定勤務でしたが、働き方改革の一環で導入されました。
またオフィス移転後はフリーアドレス制となることから、
働く場を選ばない営業やコンサルタント職にて在宅勤務が導入されることになりました。
また、女性が働きやすい職場を目指して、ある程度時間的に融通が聞くよう、
在宅勤務制度・時間短縮勤務制度などが同時に導入されることになりました。
今後は社内保育園設立などハード面の支援を進めていくことも計画されていました。
この在宅勤務制度は部門長の承認をもらうことで許可されるもので、
営業やコンサルタント職で基本的には管理職以上を対象にしていますが、
1年目の社員であっても理由をつければ比較的柔軟に在宅勤務することができます。
また、フリーアドレスデスクになった理由にオフィスの賃貸費を削減する目的もあります。
出張があれば数日デスクを空きにするのにその空間が使えないのはもったいないですよね。
経営層の判断としてはとても合理的です。
テレワークを実際にしてみて社員が思ったこと
私も在宅勤務制度を活用させてもらっていた一人です。
週に1回在宅勤務制度を使用してその中で感じたことを述べさせていただこうと思います。
まず私はこんな性格です。
- リアルのコミュニケーション、繋がりが好き
- 直接顔を合わせることですこし存在感を感じられたい
- 家だといろいろ集中できないタイプ
結果としてこう思いました。
- 通勤不要!
- 空き時間に別の仕事(内職)できる
- 変に話しかけられないので集中できる
逆に、こういうデメリットがあるなと感じました。
- やはり家だとサボってしまいがち
- テレビ会議をしてもレスポンス・表情等がわからず難しい
- コピー等が難しい
私は対面コミュニケーションが好きで、家だとだらけるタイプです。
そういう人には在宅勤務は少しだけ辛いところがあります。
しかし、雨の日や少し体調の悪い時に「今日は在宅でいいや!」と選択できるのは良い。
柔軟に運用できるような在宅勤務であればとてもいいのではないかと思いました。
他の社員のテレワークに関するPro/Con
他の社員にも聞いてみたところ、こんな意見がありました。
- もし地方で働きたいとなったときはいいかも(そんなことあるのか!?)
- 場の雰囲気は大事だと実感した
- 毎日在宅だと気が滅入るが、たまには良いと思う
- 家に子供がいると仕事にならない
- 営業だから良いけれど、総務や経理の人には難しいのでは?
時間給で判断したほうが評価しやすい職種には向いていないですが、
一人で成果を上げて数字が評価対象となるような営業やコンサルタント、
ITで作業が完了するようなデザイナー・プログラマ、データ入力やデータ確認、
コールセンターに近い業務等であれば在宅もできなくはないと思います。
テレワーク自体は拡がりつつも、廃止する企業もある
つい先日総務省主催の「テレワーク・デイズ」という企画が行われました。
2020年東京オリンピックの開会式にあたる7月24日を「テレワーク・デイ」と位置づけ、テレワークの全国一斉実施を呼びかけた結果、約950団体・6.3万人が参加しました。
このこと自体はとても有意義な試みだと思います。
これまでは、時間で縛られて無駄に会社に居座って残業しているような人がいました。
その一方で能力はあっても会社に通勤することが難しい労働者もいました。
こうした様々な事情があって物理的に通うことが難しい労働者に対して、
新しい選択肢を提示しているという点においてとても画期的な動きだと言えます。
一方で、在宅勤務制度を導入することが人々の創造性をより伸ばしたり、成果を上げたり、
会社の業務効率化が進むというわけではありません。それは会社の業務によります。
例えばWantedlyさんははテレワークを推奨していないが、業務によってはオンラインアシスタントの方々(海外含む非東京在住の方)がいらっしゃるなどバランスを取っています。
LIFULLさんは、リモートワークを試行したが顔を合わせないことによる非効率の方が大きかったため、一部導入にとどめたと言います。
IBMさんは昨年、全世界でリモートワーク制度を廃止しました。理由は直接的なコミュニケーションの重要性からです。
アメリカのYahoo!でも2013年に在宅勤務禁止令メールが流出したことで、テレワーク制度の大部分を廃止しました。
このように近年では逆に在宅勤務を積極的に推進しないことが、会社にとって良いと考える会社も出てきました。
私も実際に在宅勤務をしてみて感じたのは、コミュニケーションが格段に難しくなること。
何か一つお願いするのも、チャットやメールでは面倒で、電話だけでも不安、
たまに覗きに行って少し話すだけで解決する問題も在宅だとそうも行きません。
こうした課題は同じ空間を共有していない以上当然のように立ちはだかります。
それ自体は仕方がないことです。
ツールの導入だけでなく、在宅勤務でも十分に円滑に成果を上げられるよう、
事前に段取りを整えたり、業務に支障があれば駆けつける事もできるようにするなど、
利用者側も考えることでかなりのコミュニケーション齟齬はなくなります。
会社側も一つの選択肢として、必要な時に使えることが従業員のやる気にもなります。
従業員の能力を最も活かせるようなオプションの一つとしてテレワークは検討するべきでしょう。
参考文献
メルカリ、ウォンテッドリーがあえてテレワークを推奨しない理由 ビジネスインサイダー
https://www.businessinsider.jp/post-171734