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【書評】起業の科学|スタートアップ起業家を目指す人必読

これまで読んだ中で最も緻密かつ、王道のスタートアップバイブル

この本はスタートアップを目指す起業家にとって非常に役に立ちます。

世の中には様々なスタートアップに関するノウハウがありますが、検証の流れに沿って必要な情報がまとめられているということはとてもありがたいことです。

スタートアップは問題解決という視点を、その起業の根源に持っています。課題があるからこそそれを解決するビジネスが成り立つという考え方は非常に理想的ですし、そうした理想・夢を追求した先に新しい発見や価値を生み出すのだと信じています。

アマゾンのコメント欄ではスタートアップ起業家というよりも、会社の新規事業などに携わっている方が多く読まれているような印象を受けました。

実際、この本に記載されている内容は大企業の新規事業を考える際にも使えるフレームワークではありますが、スタートアップと新規事業では本質的に条件が全く異なります

持っているリソースや社内プロセス、そして実行する人の覚悟に至るまで全く異なる条件下では、あらゆる要素がメリットにもデメリットにもなるはずです。この本の通りに事業を考えたからと言って、実行に移せるかどうかがスタートアップには大事な点です。

実行の可否を判断するのが上司であれば、スタートアップ起業家とは全く別の政治力学が必要でかつ最も重要です。この点、非常に当たり前でありながら、根本的にそのプロセスが変わってしまうので注意が必要です。

ですので、この本はあくまでも「スタートアップ企業を目指す起業家が用いる一つの方法論として、体系的に整理されている点において優れているもの」という点は改めて指摘しておきたいと思います。

いつか起業したい人が読む本ではない。今起業する人のための本

こんなことをあたかも新しい主張のように申し上げるのもなんなのですが、正直に申し上げて、起業は本で勉強しようと思っても、ほぼほぼ役に立たないです

従ってこの極めて実用的な本も例外ではありません。だからいつか起業したいという人がスタートアップのお勉強をするためにこの本読んでも役に立たないと言えます。

しかし、既に起業している人や起業し始めて道に迷っている人にとっては本書が極めて明快な指針を与えていることに気づくのではないでしょうか。すなわちこの本は、「今起業する人、起業したことがある人が次の一歩を踏み始めるときに読むべき」内容であると言えます。

実践がないところに具体的なイメージはできません。日々悩みながら行動している起業家であれば本書で論じられている内容の重要性が身にしみて分かり、そして自らが超えるべき道を改めて実感します。

そこに向き合う覚悟ができている人であれば、書いてある内容はすべて実践的ありながら、すべてを実行することは非常に理想的で大変むずかしいことであることが、すんなり腑に落ちると思います。

スタートアップではアイデアの検証、課題の質、ソリューションの検証が最も大切

アイデアの検証では、まずどんな課題を解決するのか明確にします。そのうえでスタートアップでは常識とは異なるアイデアである必要があります。

そして今、やるべき理由をPEST分析やテクノロジーのハイプ・サイクルなどを用いて分析し、PlanAをリーンキャンバスを用いて検証していきます。

これだけでも非常にヘビーな活動だと思うでしょう。

実際に課題を明確化するだけでも非常に一苦労ですし、一連の流れを検証した結果、緻密なロジックが構築されたものの、マーケットの大きさが当初考えていたよりも限定されてしまい、ユーザーが消えてしまうこともあります。

これらの検証は、起業家の都合の良いように作ってはいけない反面で、緻密に構築しすぎるのもまたよくありません。アイデアの検証も数日で終わるレベルにして、判断するほうが良いでしょう。

スタートアップの方法論では「リーンスタートアップ」と「ランニングリーン」がバイブル的存在であり、この「起業の科学」においても基本的にはこれらを元に説明されています。

これらのリーンスタートアップ的方法論では、スタートアップにおいてはまずMVPを作り、構築、計測、学習のサイクルを高速で回すことでリーンサイクルを回すことを推奨していますが、実際はMVPを構築するのに一手間も二手間も掛かってしまうことがあります。

そのためMVPを作ることに急ぐのではなく、アイデアの検証、課題の質、ソリューションの検証に多くの時間を割くことで、より効率的にサイクルを回すことができると考える点において私も筆者と同意見でした。

おわりに

シリコンバレーでも企業に関するたくさんの本を紹介されてましたし、紹介されているTips自体は巷に溢れているものですが、具体例を交えながらまとめられた内容はないと思います。

他の方の意見も聞きたいと思い、アマゾンのコメント欄を見ていたところ、大切な指摘がされていてハッとさせられるものがありました。

そもそもなぜ会社を作りたいのか それがないとこの本は全く意味がないもの

この指摘は最も重要です。そもそも「なぜ会社を作りたいのか」という問いに答えられるでしょうか?そのモチベーションとなるべき情熱の源は、スタートアップバイブル的には「ファウンダーの課題」となるのですが、私は必ずしも課題に固執する必要はないと思います。

自分が貧しい生活をしていたから成功したいというハングリー精神からくるものや、この人の役に立ちたいという人情に依るものまで、その人を動かすモチベーションはいろいろあっていい。そしてその自然なモチベーションこそがその人を最も輝かせるはずです。

だから、必ずしもスタートアップを目指す必要はない。もしかすると起業する必要もないかもしれない。そのとき、自分の力が最も活かせる方法を考えて行動すること。それこそが真の意味での起業家精神ではないでしょうか。

しかしながら「起業の科学」に記載されている内容は間違いなく、ベンチャー起業家、スタートアップ起業家のための今一番役に立つ内容だと断言できると思います。

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