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社会人経験3年が公庫の創業支援融資でいくら借りられたのか?

今日は起業における鬼門、資金調達について経験談をご共有したいと思います。

事業を開始する際に一番課題となるのは「資金調達」です。
私は社会人生活を会計周りからスタートさせたのでお金については毎日見てきましたが、
事業を立ち上げる時のお金の話と、会計や税務の視点は全く異なりました。

起業をすると、そういう新しい気付きばかりの経験をすることになるので、
いろいろと語りたいことはたくさんあるのですが、こうした話は説教臭くなるので、
勢いで起業したい人にはうざったい話にも聞こえてそうです。

しかし、経験してやはり皆に避けられる失敗はしてほしくないと思ってます。
ですからいろいろと経験したこと、思ったことは記事にしていきたいと思います。

今回はやはりお金の話、一番関心が高いであろう、
「創業時における借入による資金調達」について紹介したいと思います。

日本政策金融公庫の創業支援融資はハードルが低い?

本来「そもそも、起業とは?」「資金調達とは?」という話からしたいところですが、
今回はそれらを理解の上、ノウハウが必要な段階を想定して説明いたします。

公庫の融資はハードルが低いと聞いたけど?

結論から言えば、「他の金融機関と比較すれば極めてハードルが低いと言えます」。
しかし、世間一般的に見れば「それなりにちゃんと準備しないと」普通に却下されます。

まず、借入での資金調達を検討することを決定したときに、
事業主は日本政策金融公庫という政府金融機関から借入を行うことが一般的です。

もちろん、市中銀行や信用金庫も融資に対応してくれますが、
実績のない(実績とはズバリ金融においては事業歴と良い決算書です)人、法人にとって、
十分な保証や担保がない限り数百万円の調達すら断られるのが常です。

そんな中で、日本政策金融公庫は唯一信用のない法人や事業主にも融資を実行します。
これは政府の創業促進政策を進める特別な金融機関だからです。

そういうことですから日本政策金融公庫は起業家にとって最も身近な存在になります。

創業支援融資は特に立ち上げたばかりの会社、これから立ち上げる会社に対する融資です。
担保や保証なしで現実的には最大で1000万円の融資を取り付けることができます。

通常の融資には保証や担保は必須とされてきましたので、
日本政策金融公庫の創業支援融資が以下に魅力的な条件なのかは一目瞭然です。

こうした金融機関での比較という視点から見れば相対的に融資のハードルは低く、
起業家にとって最初の一歩を踏み出すのに必要な資金を出してくれる金融機関です。

創業支援融資なら十分に準備すれば最大枠も融資してもらえる

創業支援融資は制度上は最大3000万円(運転資金は1500万円)となりますが、
支店決裁は1000万円が上限となっているため、現実的に1000万円となるようです。

それでは、その1000万を融資してもらうことはできるのでしょうか?
これは「できます」。

私ではありませんが、実際に1000万円の融資を受けたベンチャーを知っています。
ただし、認定支援機関に計画を策定してもらっての融資でしたので、
事業にもよりますが、自分の作った資料だけで通過させるのは難しいのかもしれません。

また、この会社はVCなどからの外部出資も受け入れている会社でしたので、
金融機関としても事業性や成長性という視点で評価しやすかった可能性があります。

そうではない、普通の人があまり設備を必要としない事業をする場合どうでしょうか?
私は社会人経験3年で500万円の融資をいただくことができました。

このときは設備が必要としない事業だったことから、
本当に最低限の運転資金と設備投資で申請しました。

面接で担当者の方にも融資額を増やしても問題ない可能性ををほのめかされたくらいに、
固めの事業計画書と受注書を提出して検討いただきすんなり満額で回答いただきました。

よくある間違いに、独立起業した人が経験があるから借りられるだろうと思って、
面談に行ったもののことごとく玉砕することがあるようです。

日本政策金融公庫だから簡単に融資してもらえる

そう思ってる人はあなただけではありません。
資金繰りの基本や、財務諸表も読めないような人がたくさん窓口に来ています。
相談する人の半分くらいは一度も見てもらってない事業計画書を提出しているでしょう。

しかし、金融機関は「貸した金は返してもらえる蓋然性がある会社にしか貸しません」
「がんばります!」と言っても口だけの経営者がいかに多いか知っています。

だから「返してくれそうな人にしか貸さないのです」
それを叩き込んだ上で挑まなければ担当者レベルで却下、最初から門前払いされます。

もちろん会計の知識が無いという人もビジネスはできますが、
税理士の方や経営計画を作る専門家、認定支援機関に依頼したほうが良いでしょう。
手数料を取られたとしても失敗して半年間融資されないよりは良いかと思います。

何より、自分でできない仕事は専門家にお願いするほうが確実に良い仕事ができます。
起業する際は専門家に依頼する報酬についても必要資金に組み込みましょうね。

創業支援融資では何がもっとも評価のポイントになるのか?

これは明らかに「しっかり準備したことが分かる証拠と面接での受け答え」です。

まず、事業運営において最も重要なのは事業継続性が担保されていることです。
あなたが行員だったとしてタピオカ屋さん経営したいという人が来たら何を見ますか?
おそらく、最低でも以下の要件は気になるはずです。

これがまさに公庫での創業支援融資でみられるポイントと言っても過言ではありません。

これまで実績(事業歴・決算書)がない創業支援融資では、
これからの計画を書く「創業計画書」という書類を必ず提出することになります。

この創業計画書には将来の計画を書くわけですが、これはタダの紙です。
当然、この計画が実現するかどうかは誰にもわかりません。

そんな中で「あなたがこれを成功させる人間である」ことを伝えるにはどうするのか?
それは、間違いなく「あなたがこれまでやってきたこと」をアピールすることです。

こうした、積み重ねと行動の結果は間違いなく評価されるポイントになります。
何も経営経験が無い人に「ポンッ」とお金を貸すわけですから、
当然、相応の準備をしてきた人、万が一でも真摯に対応してくれる人にしか貸しません。

だから、もし創業支援融資を受けたいならいくら起業にはタイミングがあるとは言っても、
数ヶ月の思いつきで公庫に飛び込むのはやめたほうが良いでしょう。

親戚の小学生が「将来医師になるので学費を貸してください」と言ったらどうしますか?

その子がものすごく真面目でこれまであげたお小遣いをすべて貯金していて、
すでに有名私立中学の受験に合格していたらちょっとは応援したいと思いますよね。

でも、その子は癇癪持ちで、お小遣いはすぐに使ってしまって、
学校の成績も悪くて親も困っているという子供だったら絶対に貸しませんよね。

金融機関から見てあなたはどういう人に見えるか考えたことはありますか?

創業支援融資の自己資金はどの程度準備すれば良いの?

自己資金は融資額の3分の1程度準備したほうが審査に通りやすいと言われています。

実際に私は毎月給与から10万円の起業準備資金として口座を分けて貯金しており、
たったの100万円でしたが、他の貯金100万円と合わせた200万円が自己資金でした。

それで500万円の融資を希望、満額回答を頂いたのですからほぼ間違いないと思います。

ただし、この自己資金の注意点は「金さえあればいい」ということではありません。
「誰かから借りた金よりコツコツ貯金したお金のほうが価値があります」

ですから友人や家族から借りたお金だけしかない場合は評価が下がると考えてください。
繰り返しになりますが、友人から借りた300万円より、
自分でコツコツためた150万円のほうが価値があります。

ある窓口担当者の頭の中

この人は見た目もしっかりしていて経歴もしっかりしている。
毎月給与から貯金して起業準備をしているようでお金の管理がしっかりしている。
きっと、これからやる会社の資金繰りもある程度管理がしっかりできるはずだ。

この人は直前に口座に友人らしき人から300万円振り込まれているけれど、
もし、その人が反社組織だったりしたら融資すると責任を問われるなぁ
税理士もついていないみたいだし、会計も疎いみたいだし、大丈夫かなぁ

公庫の担当者は融資を通してくれる味方、武器はたくさん渡そう

商売をするときにいちばん大切なのは、経営が成り立つように、
できる限り、お客さんのことを考えることですよね。

実は創業支援融資を受けるときも同じことを考えるとうまくいきます。

お客さんがなにか、製品やサービスを買いたくてお店にくるように、
「公庫の支店にいる担当者の方は融資をできるだけしたいと思ってる」のです。

経営者の方の中には銀行を敵だと思っている人がいますがとんだ考え違いで、
銀行はできるだけ貸したいのですが、貸せるような企業体質ではないのが問題なのです。

日本政策金融公庫は創業支援融資を銘打っているように起業を促進したいのです。
だからこそ、無担保無保証でまとまった金額の資金を貸し付けられるのです。
しかし、それができるのは真面目に商売をやってくれそうな人だけです。

嘘をついたり、思いつきで人からお金を借りたり、流行に乗ることしか考えてない人は、
「おそらくまた同じことを繰り返すだろう」と思ってしまいますよね。
つまり、事業継続の蓋然性が予測できないので貸せないのです。

ですから、要求された資料が完璧に整っているのは当然で、
お金をしっかり返すような人間であることは大前提です。
そのため、公共料金支払いや積立預金をしてきたりするのは極めて重要なのです。

金融機関ではこうした貸付業務においてはポイント制を取っていることが多いです。
例えば定期的に公共料金を支払っていたら10点、業界経験が5年以上あれば3点とかです。

担当者に渡す資料や実績は評価されそうなものであれば多ければ多いほうがいい。
それを以下に書類にまとめて審査を通してもらうかに力を注ぐべきなのです。

大方、創業支援融資においては自己資金をしっかりコツコツ積み立ててあり、
事業計画の蓋然性が高く(なぜこのビジネスにこの金額が必要かの根拠がある)、
融資希望金額の5分の1から3分の1程度あるのであれば融資されることになります。

そうでなくても、税理士さんや認定支援機関にサポートをお願いしていたり、
自分で積み立てた金額では足りない分を家族から借りたりすることで、
現実的には満額と言える1000万円の融資を取り付けることもできるのです。

創業支援融資の相談は事前に何回でも無料ですることができる

創業支援融資を受けたいのであれば認定支援機関に依頼するのも一つの手ですが、
ある程度、起業について勉強したり、会計の知識があれば、
自分で資料をつくって融資を取り付けることもできます。

日本政策金融公庫でも「東京ビジネスサポートプラザ」というオフィスで、
土日夜間の相談窓口を開いています。
また、TOKYO創業ステーションでも定期的に融資相談ができます。

東京ビジネスサポートプラザ
https://www.jfc.go.jp/n/finance/sougyou/pdf/tokyoBSP.pdf

TOKYO創業ステーション融資相談
https://startup-station.jp/m2/services/consultation/finance/

まずは、自分で事業計画書を作成してみて必要な資金を計算してみましょう。
その上で、どうすべきか悩んでいる箇所、現時点での課題を率直に質問すると良いですよ。

ちなみにこうした相談窓口と支店は直接的に連携している訳ではないのですが、
相談窓口で担当の方が好感触であれば、融資できる線に到達していると分かります。

こうした融資の情報はインターネットに溢れているのですが、
どれが本当に正しいのか、信じてよいのか判断が難しいところがあります。
書かれていることは事実だとしても、経験不足や知識不足が原因であることも多いです。
この記事もあくまで一つの資金調達成功例として考えてもらえるといいかと思います。

ちなみに、ここでご説明したような内容は実際の公庫の職員の方も言っています。

大企業経験者に伝えたいこととしては、起業をすると本当に信用がありません。
資金調達にあたっても断られたり、厳しく対応されたり、
無力感を感じることもときにはあるかと思いますがそれがリアルな世の中です。

そうなると、「なぜ起業するのか」というのはものすごく心を保つ上で重要です。
決して人生に投げやりになることなく耐えて前に進むためにも、
こうした情報を活用して準備し、突破し、ともに前進していきたいと思っています。

日本政策金融公庫担当者に聞く、融資のホンネ【第3回】
https://sogyotecho.jp/loan-honne-3/?sp=more

ここに書いてあることは辛辣に思うかもしれませんが実際に重要です。
というより、これができない人は融資される資格がないと言ってもいいと思います。

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